例年よりも長い夏がやっと終わったと思ったのも束の間、風が吹くと肩をすくめてしまうほど、一気に寒さを感じるようになりました。
先日鳥海山と月山で初冠雪が観測され、刻一刻と冬が近づいているのがわかります。
稲刈りを終えた田んぼは、来年の稲作のための土づくりの時期に入りました。
黄金色の稲穂が刈り取られた風景はどこか寂しげにも見えますが、昔ながらの方法で稲を自然乾燥させる稲架(はさ)掛けをしている田んぼもあり、その風景は米どころならではの秋らしい風情を感じさせます。
年間を通して美しい風景を見せてくれる田んぼと、そこで収穫された美味しいお米は、庄内の人々にとって心の拠り所となる欠かせない存在です。
全国有数の米どころの庄内も、今まさに新米のシーズンを迎えています。
SUIDEN TERRASSEの館内SHOPとオンラインサイトでも、全国にファンがいる鶴岡市の米農家(株)井上農場さんの新米の販売が開始しました。
食べる人の笑顔のために
米づくりに徹底的にこだわる(株)井上農場
山形県庄内地方は、青森県より連なる出羽山地と、秋田県との県境にある鳥海山に囲まれた平野です。
雨量・降雪量がともに多いため、地下に浸透しろ過された伏流水が山や海などで湧き出しています。また春先には雪解け水が山形県内を流れる最上川や赤川に流れ出します。
豊かな土地と豊富な水、そして昼夜の温度差が、庄内を米どころとして発展させました。
今年の夏は記録的な猛暑や水不足により全国各地の一次産業が打撃を受けました。
農業も例外ではなく、庄内地域の農家の皆さんからも作物の不作や収穫量の減少などの声が聞こえてきます。
今年の稲作やお米の出来はどうだったのか、(株)井上農場代表の井上 馨さんからお話を聞きました。
庄内地方の真ん中、鶴岡市藤島にある(株)井上農場。
「55ヘクタールある(株)井上農場では、主食用の米5品種と酒米4品種を育てています。すべて農薬や化学肥料の使用をできる限り抑えて栽培する特別栽培米です。 農薬や化学肥料の一般的な使用量を5割以上抑え、有機質肥料と、漢方薬と蜂蜜を使った自然由来の活力剤で育てています。これらの栄養で稲が元気に育ち、色も良くなるんです」と井上さん。
愛情を込めて育てたお米はJA(農協)に頼らず、自社で全量精米販売をしているとのこと。
しかし今年は全国的に猛暑の影響が大きく、(株)井上農場でも例年にない状況だったと話します。
「農業を始めて53年になりますが、今年は過去にない気象条件の厳しい年でした。稲作に限らず、様々な作物の生産者が苦労しました。特に深刻だったのが降水量不足でしたが、うちの田んぼは月山水系の水を引いているお陰で、なんとか被害を最小限に抑えることができたんです。このような状況のため、周りの農家と連携しながら作業を進めることも必要でした」
厳しい気象条件の中でも、「今年もいい米ができた」と井上さんが自信を持って言い切れるのは、井上さんが50年以上の歳月をかけて培った稲作のノウハウと地域の連携があったからこそ。
「種まきから丁寧にやっています。田植えは、稲1本1本の根本まで風通しがあって日当たりの良い環境を作るために、植え付ける苗の本数をあえて少なくして、稲同士の間隔も空けるようにしているんです。一般的には1株7本〜10本を植えるのが目安で一坪あたり70株~80株を植えるところがありますが、(株)井上農場は1株5本、一坪あたり50株~70株としています。稲にとって良い環境を作ってあげることで害虫が付きにくくなるので、結果的に農薬使用量の減少にも繋がるんです。たくさん植えて収穫量を増やすこともできるけど、稲の環境が悪くなると殺虫剤や農薬もたくさん使うことになってしまうので、(株)井上農場ではこの方法を採用しています」
安心・安全を大切にしながら、のびのびと育てた稲は粒が大きくしっかりとしたお米になります。
収穫したお米は一般的には農協のライスセンターへ持ち込む農家が多い中で、(株)井上農場ではすべて自社のライスセンターで乾燥・調整をします。調整後のお米は鮮度を保つために真空状態で袋詰めにします。白米だけでなく、玄米も販売しています。
パッケージは大きいサイズが2.5kgで、お米の酸化を防ぎ湿気や臭いからも守ることができるジッパー付きのものを採用しているので、最後まで美味しく召し上がっていただけるそう。
ドローンを使用した自然由来の農薬散布、自動抑草ロボ「アイガモロボ」を用いた有機米栽培の試験と、新しい取り組みを次々と行なっている(株)井上農場。現在は自然にやさしいパッケージを採用したいと考案しているそう。
種まきから田植え、稲刈り、精米、袋詰めまで丁寧に行なわれるお米。
それらはすべて「食べてくれる人を想像しているからできることなんです」と井上さんは語ります。
「安心して心から美味しいと言ってもらえるものを届けたい」その強い想いが、井上さんの手間暇を惜しまない米づくりに溢れていると、お話を伺っていて感じました。
(株)井上農場が育てたお米は、香り、粘り、輝き、味、どの項目においても優れた品質が認められていて、5年連続で出品している「米・食味分析鑑定コンクール」では出品した品種全てが全国3位や特別賞などを受賞。確かな品質が認められています。
(株)井上農場が自信を持っておすすめする
全国トップレベルのつや姫と雪若丸の新米販売開始
「猛暑の影響があったものの、今年の米も粘り、旨みともに非常に良いものができました。今頃の新米販売開始から年内いっぱいまでが一番多く注文をいただく時期ですが、お陰様で、北は北海道、南は沖縄まで、全国各地から注文をいただいています」
そもそもお米は野菜と同様に生鮮食品に区分されており、新鮮で温度・湿度管理がしっかりされている(株)井上農場さんの新米が人気なことも納得です。
全国的な知名度と人気を誇る「つや姫」
(株)井上農場さんがメインで生産・販売するお米は「つや姫」と「雪若丸」の2つのブランド米。他にもはえぬき、コシヒカリ、ひとめぼれと、幅広く生産・販売しています。
つや姫はブランド名の通り艶が美しく、品の良い甘みと旨み、粘りと弾力が強いのが特徴で、初めてつや姫を食べた人は「今まで食べていたお米とは別物」「ご飯が食卓での主役になった」などと感動する人も多いそうで、今やつや姫人気は全国に広がっています。 炊き立てはもちろん、冷めてもおいしいのでお弁当やおにぎりにも推奨される品種です。
しっかりした粒感でおかずの味を引き立てる「雪若丸」
雪若丸は、つや姫の弟をイメージさせるブランド米として生まれました。 力強い稲穂が特徴で、お米は雪のように白く美しく名前の由来にもなっています。粒の食感がしっかりあり、 粘りと硬さのバランスが取れたあっさりとした上品な味わいは、どんなおかずとも相性抜群。お寿司のシャリにもぴったりのお米です。
館内SHOPとオンラインストアで販売開始
品種ごとの味や特徴を楽しんでもらいたい
お米は新鮮かつ管理の徹底が大切だと言われていますが「より美味しく召し上がっていただくためには、自分自身にとって美味しい水加減を知ることも大切です」と井上さん。
「炊飯器で炊く場合は事前に決められた水分量で炊くのが一般的ですが、水の量を調整しながら炊いてみて自分にとって美味しいと思える水分量を知ることで、さらに美味しいご飯に出会えるはずです。炊き立てもおすすめですが、つや姫と雪若丸は冷めても美味しいので、おにぎりやお弁当にすると絶品です」
SUIDEN TERRASSEの館内SHOPとオンラインサイトで販売する(株)井上農場さんの「いのうえ農場新米ラインナップ」は下記の通りです。
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つや姫
約13合(2kg)
5合(750g)
玄米2合(300g)
雪若丸
約13合(2kg)
5合(750g)
玄米 2合(300g)
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特に新米は一粒一粒の水分量が多いため、艶があってもちもちとした食感。また新鮮な分、旨みと甘みを存分に味わえます。一年で一番美味しい新米だからこその味わいをぜひ体験してください。
一番少量の単位で2合ずつ袋詰めされたセットもあるので、つや姫と雪若丸の食べ比べをしても楽しいかもしれません。
春は水を張った水面が輝き、夏から秋にかけて青々とした田んぼが黄金色に変化し、冬にはしんと静まり、雪で一面真っ白になる田んぼ。
そんな米どころならではの景色の移り変わりを思い浮かべながら、庄内を代表するお米をぜひ味わってください。
【オンラインストア SUIDEN STYLE】
(株)井上農場 新米販売ページはこちら
https://style.suiden-terrasse.com/collections/frontpage
【企業Data】
株式会社井上農場
住所:999-7683 山形県鶴岡市渡前字白山前14
公式サイト:https://inoue.farm/